登園時の涙に寄り添う|「いってらっしゃい」の瞬間にできること

保育園の玄関前で、朝の自然光に包まれながら登園する親子の後ろ姿。子どもは保護者の手を握り、保育士が少し離れた場所から優しく見守っている様子を写した写真風イメージ。

朝、園の玄関で涙をこぼす子どもたち。保護者の方も胸をぎゅっと締めつけられるような気持ちで「いってらっしゃい」を伝えているのではないでしょうか。

保育士として現場に立っていると、子どもが泣く理由は“甘え”だけではなく、不安や期待、環境の変化など、いくつもの気持ちが重なっていることを実感します。

本記事では、登園時に泣いてしまう子どもの気持ちに寄り添いながら、保育士として家庭と一緒に取り組めるサポート方法を【保育士視点】で丁寧に解説します。

保護者の日常が少しでも軽くなり、子どもが安心して園生活に向かえるようなヒントをまとめました。

自宅の玄関で、親子が軽くタッチをして登園前の安心の時間を過ごしている後ろ姿。

「いってらっしゃい」の直前にできる安心づくり

登園前の時間は、子どもにとって1日のスタートを決める大切な時間です。大きなことをしなくても、少しの工夫で子どもの心は落ち着きます。

朝の支度をゆっくり進めるメリット

朝バタバタしていると、子どもは大人の緊張や焦りを敏感に感じ取ります。

可能であれば“5分だけ早く動く”という小さな余白が、子どもの不安を和らげてくれます。

「おはよう」「今日はいい天気だね」と短い会話をするだけでも、子どもは安心します。

親子の“短いルーティン”が心を落ち着かせる

保護者の方がよく実践している例としては、・玄関でぎゅっと1回抱きしめる手のひらタッチ好きな歌を一緒に口ずさむ など。 ルーティンは長すぎると泣きやすくなるため、1分以内が目安です。

泣かせないために焦らない──保護者の気持ちにも寄り添う

「早く行かなきゃ」「泣かないでほしい」という焦りは、どの保護者にもあります。

保育士としては、保護者の方の気持ちも含めて一緒に支えたいと考えています。

子どもが泣いた日は、帰りに担任から「今日はこんなふうに過ごせましたよ」と伝えることで、心配が少し軽くなるようなコミュニケーションを心がけています。

自宅の玄関で、親子が軽くタッチをして登園前の安心の時間を過ごしている後ろ姿。

登園時に保育士が行っている寄り添いの工夫

保育士は、ただ泣く子どもを受け止めるだけではなく、一人ひとりの性格やその日の気持ちに合わせて関わり方を変えています。

抱っこ・手つなぎ・距離感…子どもに合わせた受け止め方

抱っこで安心する子もいれば、保育室を一緒に歩きたい子、少し離れたところから様子を見たい子など、その日の“心の位置”はさまざまです。

保育士は「今日はこうだね」と子どもの様子を読み取りながら距離感を調整しています。

泣き止まない日のフォロー方法

涙が止まらない時は、 ・気持ちを切り替える遊びを提案する ・大好きな玩具の近くに一緒に行く ・安心できる場所(絵本コーナーなど)で過ごす など、無理なく気持ちの切り替えをサポートします。

家庭に“頑張らせすぎない”声かけをお願いする時

「泣かずに行こうね」という言葉は、子どもにプレッシャーになることがあります。

保育士としては「泣いても大丈夫」「気持ちはちゃんと受け止めます」とお伝えし、子どもの心が安心できる方向に一緒に調整していきます。

保育士が絵本コーナーで子どもと並んで座り、安心感をもって関わっている様子。

保護者ができる“別れの瞬間”の声かけ例

登園時の泣きやすさは、言葉の選び方ひとつでも変わることがあります。

安心を届ける「短くて具体的な言葉」

長い説明より、短く安心を伝える言葉が効果的です。

例) ・「迎えに来るね。○時だよ」「先生がいるから安心してね」「今日はお絵かきできるかな」 具体的な予定や行動をイメージできると、子どもは少し心が軽くなります。

引き延ばさない別れ方が子どもの気持ちを守る理由

時間をかけるほど、子どもの不安は大きくなります。 別れの瞬間は“短く、力強く、安心を込めて”。 保育士が受け止める準備ができているので、保護者の方は安心して任せてほしいと思っています。

「ごめんね」と言わないほうがいい場面も

「ごめんね」は、子どもに“つらい時間が待っているの?”という誤解を生むことがあります。

代わりに「大丈夫、先生と待ってるね」と安心を届けるほうが、子どもは落ち着きます。

保育園の玄関で、保護者が子どもに短く声をかけて登園をサポートしている場面。

それでも泣いてしまう日は──気持ちの切り替えのヒント

家庭でできる“気持ちの予告”

朝の行動を事前に伝える「気持ちの予告」はとても効果的です。 例)「ごはんを食べたら、お着替えして、しゅっぱつしようね」 子どもは“知らないことがある”だけで不安が大きくなるため、予測できるようにしてあげることが大切です。

園に着いた後のフォローはどう伝わる?

保育士は、子どもが泣いた後の様子を見ながら、気持ちの切り替えをサポートしています。保護者が知らないだけで、ほとんどの子は数分〜10分ほどで涙が止まり、遊びに向かっています。

長く続く場合に相談したい専門機関

1〜2ヶ月ほど経っても登園の不安が強い場合は、市区町村の子育て相談窓口や発達相談機関に相談することも選択肢のひとつです。 一人で抱えず、専門家に気軽に相談してみてください。

保育室で、子どもが保育士に見守られながら遊びへ向かい始めている場面。  filename:

保育士として感じる“その涙が教えてくれること”

成長のサインとしての「分離不安」

泣けるということは「自分の気持ちを表現できる」という成長の証でもあります。 子どもが大好きな人を信頼しているからこそ、安心できる場所から離れる時に涙が出るのです。

泣く姿を見て悩む保護者へのメッセージ

保護者の方が不安を感じるのは当然です。 しかし、保育士は“泣いている子を預けられること”を責める気持ちは一切ありません。 「今日もよく頑張ったね」と、子どもの涙も含めて成長を見守っています。

子どもが“自分で切り替える力”を育てるために

毎朝の涙は、いつか必ず減っていきます。 そして「行ってきます!」と自信をもって手を振る日がやってきます。 子どもが自分の力で気持ちを切り替えられるよう、家庭と園が同じ方向を向いて支えていくことが大切です。

登園後、保育室で子どもたちが笑顔で遊びながら過ごしている様子。

まとめ

登園時の涙は、子どもの「安心したい」という気持ちの表れです。

家庭での小さな準備、別れの瞬間の声かけ、保育士との連携によって、子どもは少しずつ“自分で切り替える力”を身につけていきます。

毎朝の涙に悩む保護者の方へ、少しでも心が軽くなるヒントになれば幸いです。

・・・今日も一日ちはるびより

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