節分が近づくと、「鬼が怖くて泣いてしまいました」「うちの子、節分の日は参加できなくて…」と、心配そうに話される保護者の方が少なくありません。
保育士として現場に立っていると、節分の日に泣いてしまう子、部屋の隅からそっと様子を見ている子、思いきり豆を投げて楽しむ子など、本当にさまざまな姿を目にします。
この記事では、「節分の鬼が怖い」という子どもの気持ちに寄り添いながら、泣いてしまうことは悪いことなのか、どんな関わりが大切なのかを、保育士の視点からお伝えします。

節分の時期に増える、保護者の不安
「節分の行事で、うちの子だけ泣いてしまって申し訳ない気がしました」 「みんなはできているのに、うちの子は怖がって参加できなくて…」
こうした声を聞くたびに、保育士としてお伝えしたいのは、節分での反応に“正解”はないということです。
泣くことも、逃げることも、見ているだけになることも、その子なりの精いっぱいの反応。 決して「できなかった」「失敗した」ではありません。
どうして子どもは鬼を怖がるの?
想像力が育っている証
幼児期の子どもは、現実と想像の世界を行き来しながら生きています。 絵本やお話の中の存在を、まるで本当にいるかのように感じることも少なくありません。
だからこそ、鬼の姿や声に強い恐怖を感じるのは、想像力が豊かに育っている証とも言えます。
年齢による感じ方の違い
0〜2歳頃の子どもは、「なにかよく分からないけれど怖い」という感覚が先に立ちます。 3〜4歳頃になると、「鬼=悪いことをする存在」と理解し、より強い恐怖を感じる子もいます。
年長児になると、「本当は先生だよね」と分かっていても、雰囲気や演出にドキドキすることがあります。 怖がる・怖がらないは、性格や経験によっても大きく異なります。

保育園で実際に行っている配慮
保育園では、節分を「みんなが同じように参加する行事」にはしていません。 一人ひとりの気持ちを大切にしながら、さまざまな配慮を行っています。
鬼の登場をやさしくする工夫
・鬼が突然現れないよう、事前に知らせる
・怖すぎないお面や衣装を選ぶ
・保育士だと分かる声かけをする
こうした工夫だけでも、子どもの安心感は大きく変わります。
泣いてしまった子への関わり
泣いてしまった子には、無理に行事へ戻すことはしません。 保育士のそばで抱っこをしたり、別の部屋で落ち着いて過ごしたりすることもあります。
大切にしているのは、「行事に参加できたか」ではなく、その子が安心して過ごせたかどうかです。

家庭でできる、安心につながる声かけ
まずは気持ちを受け止める
「怖かったね」「びっくりしたね」 この一言があるだけで、子どもは「分かってもらえた」と感じます。
「大丈夫だったでしょ」「泣かなくてもよかったのに」と励ましたくなる気持ちもありますが、まずは感じた気持ちをそのまま受け止めることが大切です。
鬼を通して伝えたいこと
節分は、「怖い鬼をやっつける日」ではなく、「自分の中のイヤな気持ちと向き合う日」と伝えることもできます。
怒りんぼな気持ち、イヤイヤな気持ち、泣きたくなる気持ち。 どれも悪いものではなく、誰の心にもあるものだと話してあげてください。
節分は「泣かなかったか」より大切なことがある
節分の日、泣いてしまったことだけが記憶に残ってしまうと、行事そのものがつらい思い出になってしまうこともあります。
でも実は、その前後の関わりこそが、子どもにとって大切な経験です。
保育士に抱きしめてもらったこと。 おうちで「怖かったね」と話を聞いてもらったこと。 それらすべてが、子どもの心に残ります。
保育園全体での節分の考え方や、年齢別の過ごし方については ▶ 保育園の節分って何をするの?もあわせて読んでみてください。

まとめ
節分の鬼を怖がって泣いてしまうことは、決して悪いことではありません。 それは、子どもがその場で感じた、正直な気持ちです。
大人ができることは、「泣かせないようにする」ことではなく、「泣いても大丈夫だよ」と伝えること。
節分が、子どもにとっても、保護者にとっても、少し肩の力を抜ける行事になりますように。
・・・今日も一日ちはるびより
関連リンク
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