目次
夜泣きは、赤ちゃんや幼児を育てる家庭にとって避けて通れない大きな壁のひとつです。「今日こそ寝られるかもしれない」という希望が夜中に破れ、気づけば空が明るくなっている。
そうした日々が続くと、心も体も限界に近づきます。保育園でも、夜泣きが続くご家庭は多く、登園時の子どもの表情や保護者の疲れた様子から「昨夜も大変だったのかな」と感じることがあります。
この記事では、保育士として日々子どもたちと向き合う中で見えてきた「夜泣きの背景」「家庭で無理なくできる工夫」「保育園との連携」をていねいにまとめました。
医学的判断ではなく、日常の視点に寄り添った内容です。つらい夜を過ごしている保護者が、ほんの少しでも心を軽くできますように。
夜泣きとは?保育園でも見える“眠れない夜のサイン”
「夜泣き」は明確な医学的定義はありませんが、一般的には「日中はご機嫌なのに、夜中になると突然激しく泣き出し、理由がわからない状態」を指します。
0歳後半〜2歳頃にとくに多く、3歳でも波のように再発することがあります。子どもの脳は発達の真っ最中であり、日々の刺激や環境の変化に反応しやすいため、夜に感情があふれやすいのでしょう。
保育園では、朝の表情から「眠れていないサイン」が見えることがあります。目がとろんとしていたり、登園時に涙が出たり、いつもより抱っこを求めたり…。
これらは子どもなりの“頑張っているよ”というサイン。このサインを受け取り、園ではその日の活動をゆったりめに調整したりします。

夜泣きが起こりやすいタイミング
- 入園・転園など生活環境の変化があったとき
- 言葉が急に増え、脳がフル回転している時期
- 外出や刺激の多い遊びで興奮が続いた日
- 体調の変化(鼻づまり・気温差・風邪の前兆)
- 家族の生活リズムが大きく変わったとき
夜泣きは「悪いこと」ではなく、「成長している証」ともいえます。大人でも環境が変わると眠りが浅くなるように、子どもも心や体が変化している時期は眠りに影響が出やすいのです。
保育士から見た“夜泣きする子の特徴”と心の動き
夜泣きが続く子の特徴として、「感受性が豊か」「日中の経験をよく吸収する」「環境の変化に気づきやすい」という傾向が見られます。これは決して“弱さ”ではなく、むしろ“感じ取る力が強い”という素晴らしい面でもあります。
また、成長の節目には睡眠が不安定になることが多く、歩けるようになったり言葉が増えたりする時期には眠りが浅くなりがちです。
保育士としては、そうした子どもたちが安心して過ごせるよう、ゆっくりとした環境づくりを意識しています。

感情の整理がうまくいかない時期
とくに1歳後半〜2歳頃は、自己主張が増え、感情の整理が難しい時期。日中に経験した“うまくいかなかった気持ち”が、夜に涙として表れることがあります。これはよくある自然な姿です。
成長のスパートによる睡眠の浅さ
「昨日できなかったことが今日できた!」という大きな成長の裏側には、脳の働きの活発化があり、これが睡眠の乱れにつながることもあります。夜泣きはその一環であり、育て方ではなく成長プロセスが関係していると思われます。
家庭でできる夜泣き対策|今日から試せるやさしい工夫
① 寝る前のルーティンを整える
寝る前の環境がバタバタしていると、子どもの脳が興奮したまま眠りに入り、夜中に覚醒しやすくなります。毎日同じ流れ—お風呂、パジャマ、絵本、消灯—を繰り返すことで、子どもは「これから寝る時間だ」と理解して安心できます。
- 同じ絵本を読む
- 部屋の明かりを少しずつ落とす
- 寝る前だけは保護者がそばに座る時間をつくる

② 光と音の整理で“寝る雰囲気”をつくる
照明をやさしく落とすだけでも脳は自然と休息モードに切り替わります。テレビやスマホの光は脳を刺激するため、寝る前は控えめにするのがおすすめです。
③ 夜泣きが始まったら「安心」を届ける
夜泣きしている子どもは、理由は説明できなくても不安を感じています。抱っこで体温を伝える、背中をトントンする、短い言葉をやさしく繰り返すだけで安心することがあります。

④ 昼間のスキンシップを増やす
保育園に通っている子は、帰宅後すぐに“抱っこタイム”を取るだけでも、夜の情緒が落ち着く場合があります。「甘えたい気持ち」が昼のうちに満たされていると、夜にぐずりにくくなることも多いのです。
夜泣きが続くとき、保護者が“自分を責めない”でほしい理由
夜泣きの相談を受けると、多くの保護者が「私のせいなのでは…」と口にします。しかし、夜泣きは育て方ではなく、脳の発達・日中の刺激・環境の変化などが複雑に関係して起こるといわれています。保護者が悪いということはありません。
限界を感じたら、地域の相談窓口を利用するのも立派な選択です。
保育園でのサポート|家庭との連携で夜泣きを軽くする
保育園では、夜泣きがある日は子どものペースを尊重し、午睡を丁寧にサポートしたり、スキンシップ多めで関わったりと、その日の体調に合わせたケアを行います。家庭と園が協力することで、子どもは安心しやすくなります。
連携のポイント
- 「昨夜あまり眠れませんでした」と一言伝える
- 保育園側も「今日は眠そうでした」など丁寧に共有
- 家庭と園で“がんばりすぎない対応”をそろえる

夜泣きの事例|保育士が実際に見た“揺れる気持ち”と家庭の工夫
夜泣きは個性・環境・成長段階によってさまざまです。ここでは、保育士として見てきた多様なケースを、一般的な事例として紹介します。ご家庭の状況に近いケースがあれば、対応のヒントとしてご活用ください。
事例①:環境の変化に敏感な1歳児Aくん
入園後2週間ほどして夜泣きが始まったAくん。園では新しい環境に緊張しやすく、周囲の様子を見てから動き出す慎重なタイプでした。保護者の話では「夜中に突然泣き出し、抱っこすると落ち着く」とのこと。
そこで家庭では、帰宅後“抱っこしながら絵本を読む時間”を毎日10分作るようにしました。これによってAくんは日中の緊張を家でゆっくりほぐすことができ、夜泣きが少しずつ減少。保育士としては、子どもが自分の速度で安心を取り戻していく姿がとても印象的でした。
事例②:言葉の成長とともに揺れた2歳児Bちゃん
言葉が急に増えた時期に夜泣きが始まったBちゃん。日中はよく話すようになってきた一方で、気持ちがうまく言葉にできず「いや!」という反応が増えていました。家では夢を見て泣き出すこともあったそうです。
保育園では午睡前の読み聞かせを落ち着く時間にし、家庭でも寝る前は毎日同じ絵本を読むよう心がけたところ、眠りの質が安定し夜泣きが緩やかになりました。言葉が増える時期は脳が非常に活発で、睡眠が不安定になる一例です。
事例③:保護者の勤務時間が変わった3歳児Cくん
家庭の生活リズムが変わったことで情緒が揺れやすくなったCくん。お迎えが遅くなり「やっと会えた!」という気持ちが強く、感情が爆発するように涙を見せることが増えました。
そこで保護者は「帰宅後すぐに3分のハグ」を習慣化。保育園でも「昨日たくさんハグできて嬉しかったね」と声をかけることで安心感が育ち、しばらくすると夜泣きも落ち着きました。家庭と園が同じ方向で寄り添うことで、子どもの心が安定したケースです。
事例④:弟が生まれて気持ちが揺れた2歳半Dちゃん
弟の誕生後、夜泣きが増えたDちゃん。日中は赤ちゃん返りもあり、保育園では「ママがいい」と涙が出ることも多くなりました。家庭では「ママとDちゃんだけの5分」を作り、弟とは別に特別な時間を確保。
保育園では登園時に保育士が長めにスキンシップをとることで気持ちを整え、数週間後には夜泣きが少なくなっていきました。大きな環境変化が夜泣きにつながる典型例です。
事例⑤:昼間が楽しすぎて“覚醒”してしまった1歳児Eくん
園での活動量が多かった日や、家庭で外遊びが充実した日の夜に泣きやすくなるタイプのEくん。日中の刺激が楽しいほど、脳が活性化したままで眠りが浅くなることがあります。
家庭では、寝る前の光を落とし、静かな遊びに切り替える時間を作るようにしたところ、夜泣きが落ち着いていきました。楽しい経験が刺激になって眠りに影響することは珍しくありません。
まとめ:夜泣きは“いつか必ず終わる”。いまは肩の力を少し抜いて
夜泣きは、家庭にとって心身ともに大きな負担です。しかし多くの親子を見てきた中で、夜泣きには必ず終わりが来ることを実感してきました。
今つらい日々を過ごしているとしても、あなたが毎日向き合っている姿は、子どもにとってかけがえのない安心そのものです。
どうか、抱え込みすぎず、地域のサポートや保育園にも頼ってください。あなたとお子さんのペースで、ゆっくり前に進んでいきましょう。
・・・今日も一日ちはるびより
関連記事
夜の入眠儀式の作り方
保育園での睡眠リズムの整え方

