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朝、保育園に向かう時間は、子どもにとっても大人にとっても一日のスタートを決める大切な瞬間です。
しかし、「行きたくない」「ママ(パパ)と離れたくない」と涙がこぼれる朝は、多くのご家庭で経験するもの。
保育士として現場に立っていると、朝の表情や声かけの違いだけで、子どもの園での過ごし方が驚くほど変わることに気づきます。
本記事では、保育士視点で“朝の笑顔が登園をスムーズにする理由”をやさしく解説し、ご家庭でできる3つの具体的なコツをご紹介します。
① 子どもが安心できる“朝の声かけ”を決めておく
忙しい朝こそ、子どもにかける言葉をあらかじめ決めておくと、親も子も心が整います。
毎朝違う声かけだと、子どもはその日の雰囲気を探るようになり、かえって不安が増えることがあります。
逆に、同じ言葉を繰り返すことで「いつも通り」が生まれ、安心のスイッチが入ります。
短く・明るく・同じ言葉が安心につながる理由
朝の子どもは、起き抜けで気持ちが安定しにくい時間帯。そこで、親が短く前向きな言葉を伝えることで、子どもは気持ちを切り替えやすくなります。
おすすめは次のようなフレーズです。
- 「今日はどんな楽しいことがあるかな?」
- 「ママ(パパ)はお迎えの時間に必ず来るよ」
- 「いってらっしゃい、応援してるよ」
長い説明よりも、安心のキーワードが入った短い言葉の方がスッと入っていきます。
保育園でも、朝の受け入れでは「おはよう」「今日も来てくれてうれしいよ」といったシンプルな声を必ず添えています。
「行きたくない…」と言われた時のやさしい返し方
無理に前向きな気持ちへ引っ張るより、まずは気持ちの受け止めが第一歩です。
- 「そう思うときもあるよね」
- 「今日はちょっと不安なんだね」
- 「大丈夫、先生に伝えるね。一緒に行こう」
否定せずに共感しつつ、親が前向きな表情を見せることで、子どもは“気持ちを分かってもらえた”という安心を得ます。

保育士がよく使う“寄り添いの声かけ”例
保育士が朝よく使う言葉には共通点があります。子どもの気持ちをそのまま受け止め、否定せず、未来に希望を添える表現です。
- 「来てくれてうれしいよ」
- 「ママ(パパ)頑張ってるね。◯◯ちゃんも頑張ってるよ」
- 「今日はどこから遊ぼうか、一緒にきめよう」
- 「泣いても大丈夫。ここにいるからね」
家庭でも同じ言葉を使うと、園と家庭のつながりを子どもが感じやすくなり、より安心感が増します。
② 朝の支度を“共同作業”にすると笑顔が増える
「早くして!」と声をかけるほど、子どもは焦り、笑顔から遠ざかってしまうもの。
毎日の支度を“子どもと一緒に進める作業”に変えることで、親子の時間が穏やかになります。
保育園でも、“自分でできた”経験を積んできた子ほど朝の切り替えがスムーズです。
「自分でできた」が登園の自信になる
朝の支度に子どもが関わると、自立心だけでなく、切り替えの力が育ちます。
- タオルをリュックに入れる
- 靴を自分で履く
- 玄関の鍵を親に渡す
小さな役割でも、“自分でやる → できた → 認めてもらえた”という流れは、子どもにとって大きな力になります。
前夜の準備で朝のバタバタを減らすポイント
朝がスムーズなご家庭は、前夜の準備がとても上手です。
保育士から見ても、夜のうちに準備が整っている子は朝の不安が少ない傾向があります。
- 洋服のセットを置く場所を決める
- 保育園の持ち物リストを玄関に貼る
- 子どもと翌朝の流れを軽く共有しておく
特に「明日は園庭で遊ぶ日だよ」など、保育園の予定を前夜に少し話しておくと、朝の気持ちの切り替えがとてもスムーズになります。
時間に余裕をつくる簡単スケジュール例
忙しい朝でも、わずか10分の余裕が気持ちを大きく変えます。
- 起床 → 5分だけ抱っこやスキンシップ(安心のため)
- 歯磨き・身支度 → 一緒に声をかけながら進める
- 朝食 → 早めに切り上げられるように量を調整
- 出発前 → 「今日の楽しみ」を話す習慣づけ
スケジュールのポイントは「余白」。この余白があると、泣いたり迷ったりしても慌てずに対応できます。

③ 保育園での“切り替え”を助けるルーティンを作る
保育園に到着した瞬間は、子どもにとって最も不安が出やすいタイミングです。
そのため、“到着後の流れ”をある程度決めておくことが非常に効果的です。
家庭で少し共有し、園でも保育士と連携すると、朝の涙が少なくなります。
園に着いてからの流れを家で軽く共有する効果
前もって「園についたらこうするよ」と親が話しておくと、子どもは心の準備ができ、見通しを持って行動できます。
- 靴を脱ぐ → ロッカーへ → 手洗い
- 先生に挨拶 → お気に入りの場所へ向かう
- 親は○○の場所まで一緒 → そこでバイバイ
この流れを繰り返すことで、“朝の安心サイクル”が育っていきます。

保護者と保育士の“笑顔の引き継ぎ”
保護者の表情は、子どもの安心に直結します。
保育士としても、笑顔でバトンを受け取ると、子どもの気持ちが安定しやすいと感じます。
特に効果があるのは次の2点。
- 親が安心して保育士に声をかける(短くてOK)
- 保育士が親に子どもを預かる意識を明確に伝える
「おはようございます。今日も◯◯ちゃんと一緒に過ごしますね」 この一言だけで、子どもは“今日はこの先生が見てくれる”と理解できます。
「バイバイの合図」を決めると泣きにくくなる
園でも、家庭でも、バイバイの“合図”が決まっている子は切り替えがとても早いです。
- ハイタッチ
- ぎゅっと1回ハグ
- “いってきますのタッチ”を決める
親が離れにくくなると、子どもはさらに不安を感じてしまうため、「合図をしたらスッと離れる」ことがコツです。

保育士から見た“笑顔の朝”が子どもに与える良い影響
保育士として、数多くの子どもを見てきて感じるのは、朝の表情がその日の過ごし方に強く影響するということです。
朝の笑顔が増えると、次のような変化が現れます。
- 活動に入りやすく、友だちとの関わりが増える
- 先生とのやりとりがスムーズになる
- 不安からくる“甘え泣き”が減る
- 昼間の眠気や疲れも少なくなることが多い
もちろん、毎日笑顔で登園できるとは限りません。特に行事の前日、体調の変化、環境の変化などは子どもの心を大きく揺らします。
大切なのは「その日の状態に合わせて、無理せずゆるやかに過ごす」ことです。
それでも難しいときは?家庭と園でできるサポート
どうしても泣いてしまう日や、登園しぶりが続く日もあります。
そんな時は、家庭と園が同じ方向を向くことが大切です。
睡眠リズムを整える
朝の不安は、睡眠不足が大きく関係していることがあります。
保育士としても、寝不足の子は朝の切り替えが難しいことが多いと感じます。
- 寝る前のテレビやスマホを控える
- 入眠儀式(絵本・子守歌)を決める
- 週末の生活リズムを崩しすぎない
家庭で抱え込まず相談する
登園しぶりが続くと、親自身が不安になることもあります。
そんなときは保育士や自治体の子育て相談窓口に気軽に相談してみてください。専門機関につなげてくれるケースもあります。
園との連携で子どもが安心する
「朝こう声をかけています」「こういう理由がありそうです」など、ほんの少しの情報共有で、園側も適切にサポートできます。
また、先生からの提案(朝の受け入れの流れの工夫など)が劇的に効果を発揮することもあります。

まとめ|笑顔の朝が登園を楽しくする第一歩
朝の時間は、親も子もバタバタしやすく、気持ちの余裕を保つのは簡単ではありません。
しかし、ほんの小さなコツを積み重ねるだけで、子どもの気持ちは驚くほど安定します。
- ① “朝の声かけ”を決めて安心をつくる
- ② 朝の支度を共同作業にして笑顔を増やす
- ③ 園でのルーティンを整えてスムーズに切り替える
完璧を目指す必要はありません。 今日はできなかった…と思っても、明日またやり直せば大丈夫。
親の笑顔は、子どもにとって何より強いエネルギーになりますよ。
・・・今日も一日ちはるびより
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