保育園の行事で、わが子が泣いてしまう姿を見ると、胸がぎゅっと苦しくなる保護者の方は少なくありません。
「どうしてうちの子だけ…」「ちゃんと成長できているのかな」と、不安や焦りを感じてしまうこともありますよね。
でも、実は行事で泣いてしまうことは、子どもが成長している証でもあります。
この記事では、保育士の立場から、行事で泣いてしまう子どもの気持ちや背景、そして家庭でできる声かけや関わりについて、やさしくお伝えしていきます。
行事で泣いてしまうのはよくあること
運動会や発表会、入園・進級の集まりなど、保育園の行事は子どもにとって非日常の連続です。 いつもと違う雰囲気、たくさんの人、聞き慣れない音や視線に囲まれれば、泣いてしまうのは決して珍しいことではありません。
実際、保育現場では「泣いて参加できなかった」「途中で保育士のもとに戻ってきた」という姿は、毎年必ず見られます。
環境の変化に敏感な子どもたち
子どもは大人が思っている以上に、環境の変化を敏感に感じ取っています。 会場の広さ、音の響き、保護者の人数、いつもと違う服装―― それら一つひとつが刺激となり、不安や緊張につながることがあります。
特に、普段は落ち着いて過ごせている子ほど、「いつもと違う」に戸惑い、涙が出てしまうこともあるのです。
人前や音が苦手な場合も
大勢の前に立つことや、大きな音が苦手な子もいます。 これは性格や気質によるもので、良い・悪いの問題ではありません。
静かな環境や少人数の関わりを好む子にとって、行事はとても頑張りが必要な場面です。 泣いてしまうのは、「怖い」「不安」という気持ちを、精一杯表現している姿でもあります。

泣く=成長していない、ではない理由
「泣いた=できなかった」「成長していない」と感じてしまう方も多いですが、実際はまったく逆の見方もできます。 泣くという行動の裏には、子どもなりの理解や感じ取りが隠れています。
泣くほど感じ取っている証拠
何も分からず、状況を理解していなければ、実は泣くことすらありません。 「いつもと違う」「何かが始まる」「注目されている」 そう感じ取れるからこそ、不安になり、涙が出るのです。
これは、周囲の状況をしっかり認識できている証拠であり、心の成長の一つと言えます。
その場に来られたことの意味
泣いてしまっても、行事の会場に来られたこと、最後までその場にいられたこと自体が大きな一歩です。 保育士としても、「泣かずにやりきる」ことより、「参加しようとした気持ち」を何より大切にしています。 子どもにとっては、その経験が次の挑戦につながっていきます。
保育園での対応と考え方
保育園では、行事で泣いてしまう子に対して、無理をさせないことを大切にしています。 一人ひとりの気持ちを尊重し、その子なりの参加の仕方を認める関わりを心がけています。
無理に泣き止ませない関わり
「泣かないで」「大丈夫だから」と声をかけたくなる気持ちは自然ですが、 無理に泣き止ませようとすると、かえって不安が強まることもあります。
まずは、「不安だったね」「びっくりしたね」と気持ちを受け止めること。 それだけで、子どもは少しずつ安心を取り戻していきます。
安心できる居場所の作り方
行事中でも、保育士のそばや、少し離れた場所など、 「ここなら大丈夫」と思える居場所があることはとても大切です。 無理に前に出なくても、同じ空間にいられるだけで十分な参加と考えています。

家庭でできる声かけと関わり
行事の前後に、家庭でどんな声をかけるかによって、子どもの受け止め方は大きく変わります。 結果よりも気持ちに目を向けた関わりを意識してみましょう。
行事当日の声かけ
当日は、「泣かないでね」「ちゃんとやってね」ではなく、 「見てるよ」「一緒に頑張ろうね」といった安心につながる言葉がおすすめです。 不安な気持ちを否定せず、味方でいることを伝えてあげてください。
後日振り返るときのポイント
行事が終わったあとには、 「泣いちゃったね」ではなく、「来られたね」「先生のところまで行けたね」と、 できたことに目を向けて話してみましょう。 そうした積み重ねが、子どもの自己肯定感を育てていきます。
まとめ|泣いた経験も大切な一歩
保育園の行事で泣いてしまうことは、決して後ろ向きなことではありません。 それだけ真剣に感じ、向き合っている証です。
泣いた経験も、子どもにとっては大切な成長の一歩。 周りの大人がその気持ちを受け止め、認めていくことで、子どもは少しずつ自信をつけていきます。 どうか、その姿をあたたかく見守ってあげてください。
・・・今日も一日ちはるびより
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