目次
保育園で行われる「敬老会」は、子どもたちが大好きなおじいちゃん・おばあちゃんへ日ごろの感謝を伝える特別な日です。
普段なかなか会えない祖父母と、笑顔でふれあう時間をつくることで、子どもたちは“思いやる心”を育みます。
また、祖父母にとっても、孫の成長を間近で感じられる大切な機会です。
この記事では、保育園の敬老会のねらい・年齢別の出し物・準備と当日の流れ・保護者や祖父母への配慮ポイントを、保育士の立場から具体的に紹介します。
保育の現場で実践できるアイデアを交えながら、温かい行事運営のヒントをお伝えします。
保育園の敬老会とは?行事のねらいと大切にしたい気持ち
「敬老の日」は、社会に尽くしてきた高齢者を敬い、感謝を伝える日として制定されています。
保育園ではこの日に合わせて「敬老会」を行い、子どもたちが祖父母や地域のお年寄りとふれあう場をつくります。
保育園での敬老会には、次のような教育的ねらいがあります。
- 身近な人へ「ありがとう」の気持ちを伝える経験
- 世代を超えて交流する楽しさを味わう
- 地域や家庭とのつながりを感じる
近年は核家族化が進み、祖父母と日常的に接する機会が少なくなっています。だからこそ、園での敬老会は“世代間の架け橋”となる貴重な行事です。
子どもたちが「おじいちゃん・おばあちゃんってこんなに優しい人なんだ」と感じる時間が、心の成長にもつながります。

準備の進め方|計画から当日までの流れ
敬老会の成功には、丁寧な準備が欠かせません。保育士が中心となり、子どもたちが主体的に楽しめるような流れを意識しましょう。
① 企画会議とテーマ設定
まずは職員間で、行事の目的とテーマを明確にします。「ありがとうを伝えよう」「いっしょに楽しもう」など、園の方針や子どもの発達に合わせたテーマを決めると、内容に一貫性が生まれます。
② 出し物・プレゼント制作の準備
出し物やプレゼントは、クラスごとの発達段階を意識して計画します。0歳児はふれあい中心、5歳児は歌や言葉の発表など、年齢に応じた活動を取り入れましょう。
③ 保護者への案内と祖父母の招待
案内状には、日時・場所・持ち物・感染症対策などをわかりやすく記載します。参加が難しい祖父母のために、後日作品展示や動画配信を行う工夫も効果的です。

年齢別・敬老会の出し物アイデア集
0~2歳児クラス:ふれあいを大切に
小さい子どもたちは、歌や手遊びを中心に「ありがとう」を伝えます。おじいちゃん・おばあちゃんの手を握ったり、一緒に体を動かしたりすることで、心が自然に通い合います。
- 手遊び:「とんぼのめがね」「おつかいありさん」など
- ふれあい遊び:「バスごっこ」「いっぽんばしこちょこちょ」
- 簡単な製作:手形カード、シール貼りアートなど
泣いてしまう子もいますが、無理に発表させず、温かく見守ることが大切です。「ここにいるだけでOK」という安心感が伝われば、それが一番の成功です。

3~4歳児クラス:表現とプレゼントで伝える
少しずつ自分の思いを表現できる年齢です。短い歌やダンス、合奏などを取り入れると、子どもたちの「見てほしい!」という気持ちを生かせます。
手作りプレゼントは人気の定番。紙皿フレームや写真立て、似顔絵入りうちわなど、簡単だけど心がこもったものを選びましょう。
プレゼントには、子ども自身の言葉でメッセージを添えるとぐっと感動が増します。
「いつもありがとう」「またあそんでね」――短い言葉の中にも、子どもたちの優しい気持ちがあふれます。

5歳児クラス:成長を感じる発表と感謝の言葉
年長クラスになると、言葉や姿勢にもしっかりと成長が見られます。合唱や劇の発表など、少し大きなチャレンジにも取り組めます。
たとえば、人気の出し物には次のようなものがあります。
- 劇「おじいちゃんとのおでかけ」などの創作劇
- 合唱「にじ」「ありがとうの花」
- リズム遊び「ドンパン節」などの盆踊り風アレンジ
発表のあとは、子どもたちが代表して「これからも元気でいてね」と言葉を贈ると、会場全体が温かい拍手に包まれます。

当日の進行と工夫ポイント
敬老会の当日は、いつもの園とは少し違う雰囲気に子どもたちも緊張しがちです。だからこそ、進行をゆったりと組み、安心して楽しめる環境づくりが大切です。
一般的なプログラム例
- 開会のあいさつ(園長・保育士)
- 歌やダンスの発表
- ふれあい遊び(全員参加)
- プレゼント渡しと記念撮影
- おやつ・交流タイム
時間配分は30〜60分程度が目安です。高齢の方に無理のないよう、椅子の高さや動線、休憩のタイミングを工夫しましょう。
感染症対策と代替案
近年は感染症対策から、オンライン形式の敬老会を取り入れる園も増えています。動画メッセージや写真スライドを作成し、家庭で楽しめるように工夫するのも一つの方法です。
「リアルでもオンラインでも、“ありがとう”の気持ちは同じ」――保育士として、子どもたちの気持ちが伝わる形を一緒に考えましょう。

祖父母・保護者への配慮と伝え方
敬老会を成功させるには、参加する全ての人に「安心して楽しめる時間」を届けることが大切です。特に祖父母世代への配慮は欠かせません。
祖父母への配慮ポイント
- 参加しやすい時間帯(午前中や早い午後)を設定
- 座りやすい椅子・休憩コーナーを用意
- スリッパや名札をあらかじめ準備
- 体調や移動手段を事前に確認
保護者との連携
祖父母が遠方で来園できない場合には、保護者にプレゼントを託す形で家庭に届けてもらうなど、代替案を提案します。
子どもたちが「作ったよ!見てね!」と話す時間が、家庭での心温まる会話になります。

敬老会後の活動|思い出をつなぐ工夫
行事が終わった後も、敬老会の経験を園生活に生かしていきましょう。壁面に写真を掲示したり、子どもたちと感想を話し合ったりすることで、行事が“心の記憶”として残ります。
子どもたちの声を聞いてみると――
「おばあちゃんがニコニコしてた」「プレゼント喜んでくれた」など、素直な感想がたくさん。感情を言葉にすることで、自己肯定感や表現力も育ちます。
また、行事後に祖父母へお礼状を送るのもおすすめです。短い文でも、“伝えた気持ちを形にする”経験は大きな意味があります。

まとめ|「ありがとう」がつながる敬老会
保育園の敬老会は、子どもたちの「ありがとう」があふれる日。おじいちゃん・おばあちゃんにとっては、孫の成長を感じるかけがえのない時間です。
派手な演出よりも、気持ちを大切にした素朴なふれあいこそが心を動かします。
忙しい毎日の中で、ほんのひとときでも「ありがとう」と言葉を交わせたなら、それが一番の成功。世代を超えた笑顔があふれる敬老会が、子どもたちの未来にも温かな記憶として残ります。
・・・今日も一日ちはるびより
→関連リンク文:
・「季節の行事に込める思い|保育園の年間イベントとねらい」
・「子どもと一緒に作る!感謝の手作りプレゼントアイデア集」

