「完璧じゃなくていい」子育てに疲れたママへ届けたい言葉|心が軽くなるヒント

自然光の差し込むリビングで、ママと幼い子どもが寄り添ってくつろぐ様子を写した写真。優しい光に包まれた、安心感のある家庭の雰囲気が伝わるアイキャッチ画像。

子育ては幸せと大変さが同時に押し寄せてくる、いわば“感情のジェットコースター”のようなものです。やっと笑ったと思えば、次の瞬間には泣き出してしまう。

思い通りに進んだように見えても、気づけば部屋は散らかり放題。気持ちが落ち着いたと思ったら、またどこかで不安の波が押し寄せる……。そんな毎日を、ママは休む間もなく駆け抜けています。

 だからこそ、ふとした瞬間に「私、ちゃんとできているのかな」「もっと頑張らなきゃ」と自分を追い込んでしまうこともあるでしょう。けれど、保育士として数多くの親子と向き合ってきた経験から断言できることがあります。

 ——子どもは “完璧なママ” を求めているのではなく、“安心して寄り添ってくれる存在” を求めている。

 今、肩の力が入って少しだけ苦しくなっているあなたへ。ここでは、あなたの心をそっとほぐし、子育てにもう一度やさしい風を吹かせるようなメッセージをお届けします。長い文章ですが、深呼吸しながら、どうかゆっくり読んでくださいね。

「完璧じゃなくていい」と伝えたい理由

自然光の差し込むリビングで、ママが子どもを見守りながらくつろいでいる様子を写した穏やかな家庭シーン。

■ 子育ては「正解のない世界」。迷うのは自然なこと

 子どもは一人ひとり違う性格や気質を持っています。同じ言葉をかけても笑う子もいれば、不満そうな顔をする子もいます。同じ年齢でも、発達のスピードは驚くほど違います。

 たとえば「イヤイヤ期」。Aちゃんは泣いて自分の要求を通そうとするタイプ、Bくんは黙って固まるタイプ。どちらも成長の一つですが、関わり方はまったく違います。だからこそ「どう接するのが正しいの?」と悩んでしまうのは当然なのです。

 保育士であっても、毎日が試行錯誤の連続です。「昨日と同じやり方」がうまくいかないことなんて珍しくありません。だから、ママが迷うことは、実はとても自然なこと。むしろ「子どもを理解したい」という愛情の証です。

■ 完璧を目指すほど、心の余白がなくなってしまう

 「ごはんは栄養バランス良く」「部屋はいつも整えて」「毎日たくさん遊んであげて」「怒らず優しく」……。考えるだけでも息が詰まりそうなほど“理想のママ像”は多くのプレッシャーを与えてきます。

 しかし、完璧であろうとする気持ちは、知らず知らずのうちに心のエネルギーを消費します。心に余白がなくなると、小さなミスでも自分を責めてしまったり、ちょっとしたことで涙がこぼれてしまうこともあります。

 余白は、ママのやさしさの源です。完璧に見える行動よりも、「気持ちが落ち着いている時間」の方が子どもにとっては大きな安心につながります。

保育士として見てきた「頑張りすぎるママ」の共通点

 私が保育士として日々感じるのは、「頑張りすぎるママほど、自分に厳しすぎる」ということです。誰よりも向き合い、誰よりも気を配り、誰よりも子どもを思っているのに、「できないところ」ばかりを探しがち。

 けれど、保育園でお子さんを見ていると、ほとんどの子どもはとても安定しています。それは、ママがしっかり愛情を届けている証拠。完璧でないところがあっても、愛情は確かに伝わっているのです。

子育てに疲れたと感じるのは自然なこと

夕方の道を、ママと子どもが手をつないで歩く後ろ姿を捉えた温かい雰囲気の写真。

■ イライラ・落ち込みは「向き合っている証拠」

 「疲れた」と感じるのは、あなたが毎日子どもに真剣だから。もし適当に流していれば、こんなに気持ちが揺れることはありません。

 イライラするのも、落ち込むのも、それだけ子どものことを思っているから。その感情は“育児放棄”とは真逆の場所にあるものです。どうか、自分を責めないでください。

「私だけ?」と思う前に知ってほしい普通のこと

 保育園の送り迎えで、ママたちの会話を聞いていると、「昨日全然寝てくれなくて…」「朝から大泣きで大変で…」など、みんな似たような悩みを抱えています。SNSでは見えないだけで、どの家庭にも“余裕がない日”があります。

 誰かが笑っているように見えても、それはほんの短い瞬間。あなたと同じように悩み、時に落ち込み、試行錯誤しながら進んでいるのです。

■ 限界に気づくためのサインを知っておく

 「なんとなく笑えない」「気力が湧かない」「息が詰まるような感覚が続く」——そんなときは、休むべきタイミング。

 身体が教えてくれるサインを無視し続けると、心が悲鳴をあげてしまいます。何より、ママが元気でいることは、子どもの安心につながる大切な要素です。

心が軽くなる「完璧じゃない子育て」のコツ

やや散らかった室内で、ママと子どもが顔を見合わせて笑っている日常のワンシーン。

“やらなきゃ”を減らす小さな工夫

 育児中は「〇〇しなきゃ」が無限に湧いてきます。しかし、それをすべてこなすのは不可能です。

 ・夕食はワンプレートでOK
 ・洗濯物は畳まずカゴにポン
 ・掃除は“気が向いたときだけ”で十分

 この程度でも、生活はちゃんと回ります。むしろ、肩の力が抜け、子どもと向き合う時間にゆとりが生まれます。

家事も育児も「ゆるく回す仕組み」をつくる

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 完璧にすると「続かない」。でも、ゆるくすることで「続けられる」。その積み重ねが家庭の心地よさをつくります。

 たとえば……
 ・週に一回は“お惣菜の日”
 ・おもちゃの片付けは“箱ひとつに放り込むだけ”
 ・子どもの服は畳まず“入れるだけ収納”

 無理しない仕組みづくりは、心の負担を確実に軽くしてくれます。

他のママと比べない思考の切り替え

 子育てで一番疲れるのは、実は“他の家庭との比較”かもしれません。「あの子はもうできているのに」「あの家はいつもきれいなのに」……。

 でも、育児のスピードに早いも遅いもありません。保育園では、同じクラスでも発達差は本当にバラバラです。

 「私は私のペースでいい」
 この言葉を、ぜひ心の中に置いておいてください。

助けを借りることは“弱さ”ではなく“賢さ”

子育て支援センターで、ママがスタッフに相談している親子の後ろ姿を捉えた写真。

■ 周りに頼るのは、むしろ家族のため

 周りの力を借りることは甘えではありません。ママの心に余裕が生まれることで、結果的に子どもの安心にもつながります。

 育児はひとりで背負うものではありません。パパ、祖父母、友人、地域の支援、保育園——使える手はすべて使っていいのです。

■ パパにお願いするときの言い方の工夫

 「〜してよ!」が言いづらいときは、「〜してもらえると助かるな」の言い方が効果的。相手を責めるニュアンスがなく、協力を得やすくなります。

 家事も育児も、どちらか一方が背負うべきものではありません。家庭はチーム。だから、役割分担は必要なことなのです。

■ 気持ちがつらいときは専門機関の利用も

 気持ちがふさぎ込んでしまったり、涙が止まらない日が続くときは、地域の子育て支援センターや自治体の相談窓口に相談するのも大切です。専門スタッフが話を聞いてくれるだけでも、心が驚くほど軽くなることがあります。

 ひとりで抱え込まないでください。助けを求めることは、立派な「子育ての力」です。

保育士として伝えたい「ママの笑顔が子どもの安心につながる」理由

保育園の園庭で、安心した表情で遊ぶ幼い子どもの姿を写した写真。

子どもは“表情”を敏感に受け取る

 子どもは言葉以上に、大人の表情や声のトーンを感じ取っています。ママが少し笑顔になるだけで、子どもが安心して遊び始めることはよくあります。

 逆に、大人がピリピリしていると、子どもも落ち着きにくくなるもの。だからこそ、ママ自身の心が整っている時間が何より大切なのです。

■ 完璧な家庭よりも「安心できる空気感」

 保育園でも大切にしているのは“安心の空気”。部屋が多少散らかっていても、子どもの寝ぐずりがあっても、ママの心に少しの余裕があるだけで、家庭の空気は変わります。

 完璧に整った家より、笑顔がある家が何よりの宝物なのです。

■ 家庭と保育園で共通している“ゆったり”の価値

 保育園では「急かさない」「比べない」「その子のペースを大切にする」という姿勢が基本です。これは家庭でも全く同じ。

 毎日の生活の中で、ほんの少し“ゆったり”を増やすだけで、子どもの情緒は安定し、ママの心にも余裕が生まれます。

まとめ:今日も十分がんばっているあなたへ

■ 少し休んでもいい。むしろ必要なこと

 家事をさぼった日があっても大丈夫。お惣菜の日が続いても全然大丈夫。休息は「怠け」ではなく、「次に進むための準備」です。

 あなたが少し休むことで、家族みんなが救われます。

■ 完璧じゃなくても、あなたは良いお母さん

 子どもは、あなたの優しさをちゃんと感じています。見えないところであなたがどれだけ頑張っているのか、実は子どもは肌で感じ取っています。

 今日のあなたも、本当に十分すぎるほど頑張っています。

■ 苦しいときには、またここに戻ってきて

 不安な日、眠れない日、気持ちが沈む日……そんな時は、またこの記事を読み返してください。あなたの味方でいたいと思っています。

 どうか、自分にやさしく過ごせますように。

・・・今日も一日ちはるびより

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