トイレトレーニングが上手くいかない…焦る前に知ってほしい原因と対処法【保育士が解説】

日本の家庭のリビングで、母親と幼い子どもが並んで座っている穏やかな日常シーン。

「トイレトレーニングが上手くいかない」「何度誘っても嫌がる」「失敗ばかりで心が折れそう」—— そんな気持ちでこのページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。

周りの子がパンツになった話を聞いたり、保育園や健診で「そろそろですね」と言われたりすると、 どうしても焦りや不安が大きくなりますよね。

でも、保育士としてたくさんの子どもたちを見てきた中で、はっきり言えることがあります。 トイレトレーニングが上手くいかないのは、決して珍しいことではありません。

この記事では、トイトレが進まない理由を子どもの視点から紐解きながら、 今日からできる関わり方、そして「今は休んでもいい」と思える考え方をお伝えします。

トイレトレーニングが上手くいかないのはよくあること

まず知っておいてほしいのは、トイレトレーニングは一直線に進むものではないということです。

保育園でも、

  • すぐにトイレでできるようになる子
  • 一度できたのに、またオムツに戻る子
  • 3歳を過ぎてもトイレ自体を嫌がる子

本当にさまざまな姿があります。

家庭ではどうしても「できた・できない」という結果に目が向きがちですが、 実際の現場では「今日は座れた」「トイレに入れた」という一歩一歩を大切にしています。

特に初めての子育てでは、

  • 周囲と比べてしまう
  • 情報が多すぎて混乱する
  • 親の不安が子どもに伝わる

といったことが重なり、必要以上に追い込まれてしまうことも少なくありません。

上手くいかない=失敗ではない まずはこの考え方を、心に置いてもらえたらと思います。

歳の子どもと母親がリビングで静かに向き合い、落ち着いた時間を過ごしている家庭の様子

トイレトレーニングが進まない主な原因

体の発達がまだ追いついていない

トイレで排泄するためには、実は高度な体の発達が必要です。

具体的には、

  • おしっこを膀胱にためられること
  • 「出そう」「出た」という感覚がわかること
  • ある程度、排泄の間隔が空くこと

これらが揃って初めて、トイレで成功しやすくなります。

この準備が整う時期には大きな個人差があり、 年齢だけで判断することはできません。

「トイレに座っても出ない」「出たあとに気づく」という場合は、 気持ちの問題ではなく、体の成長途中である可能性が高いです。

トイレが怖い・不安な場所になっている

大人にとっては当たり前のトイレですが、子どもにとっては不安要素がたくさんあります。

  • 流す音が大きい
  • 空間が狭くて暗い
  • 便座が冷たい、ぐらつく

こうした小さな違和感が積み重なると、 「トイレ=怖い場所」という印象になってしまうことがあります。

無理に座らせようとすると、その怖さがさらに強まってしまうこともあるため注意が必要です。

失敗経験がプレッシャーになっている

何度も失敗を繰り返すと、子どもなりに 「また失敗するかもしれない」 「怒られるかもしれない」 と感じるようになります。

大人が思っている以上に、子どもは周囲の表情や言葉に敏感です。

「どうしてできないの?」 「さっき行かなかったでしょ」 といった言葉は、責めているつもりがなくても、 子どもにとっては大きなプレッシャーになることがあります。

トイレの前で立ち止まり、入るか迷っている3歳の子どもの様子

年齢別|トイレトレーニングが上手くいかないときの考え方

2歳で進まない場合

2歳頃は、「トイレに慣れる時期」と考えるのがおすすめです。

この時期は、

  • イヤイヤ期と重なりやすい
  • 自分で決めたい気持ちが強い
  • 体の準備がまだ途中

という特徴があります。

無理に成功を目指すよりも、

  • トイレに入ってみる
  • 座ってみる
  • 絵本や声かけで安心する

といった経験を積むことが大切です。

3歳で終わらない場合

3歳を過ぎると、「まだオムツなの?」と周囲の目が気になりやすくなります。

ですが、3歳でトイトレが終わらない子は決して少なくありません。

むしろこの時期は、

  • 自我がはっきりする
  • 恥ずかしさを感じ始める
  • 失敗を気にする

といった心の成長が大きく影響します。

「わかっているけどできない」状態になることも多いため、 叱るよりも気持ちに寄り添う関わりが重要になります。

今日からできる関わり方と声かけの工夫

成功をゴールにしすぎない

トイレトレーニングでは、「トイレでできた」という結果ばかりに目が向きがちです。

でも実際には、

  • トイレに行けた
  • 座れた
  • 嫌がらなかった

これらすべてが大切な成長です。

「できた・できない」ではなく、 「やってみた」ことを認める声かけを意識してみてください。

誘うタイミングを見直す

時間だけで誘うのではなく、

  • 起きたあと
  • 外出前後
  • お風呂の前

など、生活の区切りで声をかけると、成功しやすくなります。

それでも嫌がる場合は、無理に連れていかなくて大丈夫です。

NG声かけ・OK声かけ

NG例

  • 「もう◯歳でしょ」
  • 「なんでできないの?」

OK例

  • 「教えてくれてありがとう」
  • 「行ってみようか。嫌だったら言ってね」

子どもと目線を合わせ、やさしく声をかける母親の家庭での一場面

トイレトレーニングを一度やめるのはアリ?

「もう疲れた」「うまくいかなくてつらい」 そんなときは、一度トイトレをお休みするのも立派な選択です。

保育現場でも、

  • 数週間休んだら急に進んだ
  • 気持ちが落ち着いて再開できた

というケースは本当によくあります。

再開の目安は、

  • 子どもがトイレに興味を示す
  • 親の気持ちが落ち着く

この2つが揃ったときです。

保育士として伝えたい大切なこと

トイレトレーニングは、子どもにとって「自分の体を知る」大切な経験です。

でもそれ以上に大切なのは、 失敗しても受け止めてもらえたという安心感です。

この安心感があるからこそ、子どもは「もう一回やってみよう」と思えるようになります。

今は上手くいっていなくても、 この先ずっとオムツの子はいません。

どうか比べすぎず、今日まで頑張ってきたご自身をねぎらってあげてください。

夕方の室内で並んで座り、穏やかな時間を過ごす母親と3歳の子どもの後ろ姿

まとめ

トイレトレーニングが上手くいかないとき、

  • 焦らなくていい
  • 理由がある
  • 休んでも大丈夫

このことを思い出してください。

親が少し肩の力を抜くことで、子どもも安心して前に進めるようになります。

今日も子育て、本当におつかれさまです。

・・・今日も一日ちはるびより

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