10月が近づくと、街中はオレンジや紫の装飾に包まれ、どこからか「トリック・オア・トリート!」という声が聞こえてきます。
近年では保育園でもハロウィンを楽しむ園が増え、子どもたちのかわいらしい仮装姿が秋の風物詩になりました。
でも、ふと考えると「ハロウィンっていつからこんなに身近になったんだろう?」と思うことはありませんか。
今回は、保育園の現場で感じる“時代の変化”とともに、行事に込められた子どもたちの笑顔の意味を見つめてみましょう。
ハロウィンはいつから始まったの?
ハロウィンの起源は、古代ケルト民族の「サウィン祭」までさかのぼります。もともとは収穫を祝い、祖先の霊を迎える行事でした。
それが長い年月を経てキリスト教の文化と混ざり、現在の「ハロウィン」として世界に広まりました。
日本で広まったきっかけ
日本でハロウィンが知られるようになったのは、1980年代後半のこと。東京ディズニーランドが1987年に初めてハロウィンイベントを開催したのをきっかけに、少しずつ一般にも広がっていきました。
2000年代に入ると、雑貨店やスーパーでも関連商品が並ぶようになり、今では10月になると「ハロウィン特設コーナー」が当たり前の光景になっています。

保育園行事としてのハロウィンの歴史
保育園でハロウィンを取り入れるようになったのは、ここ10〜15年ほどが主流です。きっかけは「異文化体験」や「季節の行事」としての導入。
英語教室を実施している園では、英語圏文化に触れる一環として取り入れるケースも増えています。
最近では、保育士手作りの衣装でミニパレードを楽しむなど、園の特色が光るハロウィンが各地で行われています。
保育園で感じる“時代の変化”
ひとくちに「ハロウィン」といっても、園によって過ごし方はさまざま。
昔は“仮装ごっこ”や“製作遊び”が中心でしたが、近年はSNSの影響もあり、衣装や飾りつけの華やかさが増しています。
仮装の多様化と保護者の協力
以前は園で用意したマントやお面を使うだけでしたが、最近は「親子で一緒に衣装を作ろう」という家庭連携の機会にもなっています。
100円ショップや手芸用品店でも、手軽に材料がそろうようになりました。
中にはおうちで完成度の高いコスチュームを準備してくる家庭もあり、子どもたちは登園時からワクワク顔です。

安全への配慮と園の工夫
一方で、行事が定着するにつれて「安全面への配慮」も重要になっています。 園外でのパレードは控え、園庭やホール内で完結する形をとる園が増えています。
お菓子の受け渡しをする際には、アレルギー対応や個包装のルールを設けるなど、細やかな配慮が求められます。
保育士としては「楽しさ」と「安全」をどう両立させるかが腕の見せどころです。
お菓子交換から「思いやり」へ
“もらう”だけでなく、“あげる”楽しさを伝えることも、保育の大切なポイント。
年長児が小さい子にお菓子を渡したり、「ありがとう」を伝えたりする姿には、心の成長がにじみます。
ハロウィンを通して“優しさを形にする日”に変わりつつあるのかもしれません。

子どもたちの笑顔に込められた意味
行事の日、鏡の前で「みてみて!プリンセスになった!」と笑う子どもたち。
衣装に袖を通す瞬間の輝く瞳に、私たちはたくさんの成長を見つけます。
「なりきる」ことで育つ想像力
仮装は、子どもにとって“ごっこ遊び”の延長です。自分が憧れる存在になりきることで、豊かな想像力や表現力が育ちます。
ある園では、魔女の帽子をかぶった子が「おまじないをかけて、泣いてる子を笑顔にするの」と話してくれました。仮装の中に、思いやりや創造の芽がしっかりと息づいているのです。
みんなで楽しむ達成感と自信
行事の準備から本番までを通じて、子どもたちは協力し合う力や達成感を味わいます。
自分の衣装が完成した時の誇らしげな笑顔、友だちと「似合ってるね」と声を掛け合う瞬間…。
その一つひとつが、子どもたちの自己肯定感を育てています。

保育士として大切にしたいこと
華やかな行事ほど、保育士にとっては準備や配慮が多いもの。
でも、子どもたちが笑顔で過ごすためには、まず保育者自身が楽しむ心を忘れないことが大切です。
行事を“楽しむ心”を守る関わり
子どもが「失敗してもいい」「自由に表現していい」と感じられる雰囲気をつくること。衣装や演出が完璧でなくても、「楽しかったね」と笑い合えること。
それこそが保育行事の原点です。園によっては、あえて衣装のテーマを決めず、子どもたちの“なりたい気持ち”を尊重する取り組みもあります。
無理なく、園のペースで
ハロウィンはあくまで“季節の行事”のひとつ。園の規模や保育方針に合わせて、無理のない形で行うことが大切です。
「やらなきゃいけない」ではなく、「みんなで笑顔になれる行事」にする。その思いが、きっと子どもたちの心に届きます。

まとめ:ハロウィンがつなぐ笑顔の輪
ハロウィンはもともと海外の行事ですが、今では日本の秋を彩るあたたかな風景のひとつになりました。
保育園の中では、異文化を知る機会であり、友だちや家族と笑顔を共有する大切な時間です。仮装やお菓子だけでなく、“思いやり”や“協力”を育む行事として、これからも子どもたちの成長を優しく見守っていきたいですね。
「ハロウィンっていつから?」という問いの答えは、もしかしたら「子どもたちの笑顔が咲いたとき」なのかもしれません。
・・・今日も一日ちはるびより
関連リンク
・秋の製作あそびで季節を感じよう
・保育園の行事準備を楽しむコツ
・子どもたちと一緒に作る行事食アイデア

