保育園の入園選考の方法は?指数を上げて有利にするポイントは?

ベテラン保育士 ちはる先生
さて、認可の保育園にはどうやって入れるか入れないか決まるのでしょうか?
新人保育士 キララ先生
みなさん興味あることですよね。切実な問題です。

 

認可保育園・認定こども園・小規模保育・家庭的保育等(以下、認可保育施設とします。)の利用を希望する場合、「保育の必要性」の2号認定3号認定を受けることになりますが、保育園に空きがないと、入ることができません。そこで、申込者が定員を上回った場合は市区町村によって、入園選考・利用調整が行われます。では、いったいどんな風に「入れる」「入れない」が決められるのでしょうか。

入園選考の指数は何で決まるの?就労時間・世帯の状況などによります

この入園選考では、優先順位を不公平感をなくし、保育の必要性を客観的に判定するために、世帯に「指数」という点数がつけられます。指数の決め方、点数自体は市区町村によってさまざまですが、都市部の待機児童が多い地域ほど、同点になりにくいように、差がつきやすいように細分化している傾向があります。

この指数ですが、「基準指数」「調整指数」の2段階で構成されているのが一般的です。

基準指数(基本点数)

保育を必要とする事由ごとに優先の度合いを指数化しています。
勤務時間はフルタイム(1日の労働時間が8時間以上)が満点で、短くなるほど指数は低くなります。居宅内自営業の場合は市区町村によっては、同じ勤務時間でも指数が低くなることもあります。
求職中であれば指数が低く、内定している場合はその労働時間によって指数が変わってきます。内定していない場合は最低の数値になり、しかも、保育園入園後2ヶ月以内に就職しなければいけない決まりになっています。

調整指数

いろいろな家庭の事情や子どもの状況を配慮するための指数で基本指数から増減されます。

加点される例
①ひとり親世帯である場合
②生活保護世帯である場合
③父母どちらかが単身赴任をしている場合
④生計中心者の失業により就労の必要性が高い場合
子供が認可外の保育施設で保育されている場合
⑥希望する保育園に兄弟が在園している場合

減点される例
①同居の親族が保育できる場合(60歳もしくは65歳以上は除外)
②当該市区町村の外に在住している場合
③正当な理由なく保育料を滞納している場合

基準指数、調整指数は市区町村によって、かなり異なります。

保育園

保育園の入園選考は世帯の指数によって判断されます

基準指数調整指数の2つがあることはわかりましたが、実際はどのようにして保育園あるいは希望の園に入れるかどうか選考されるのでしょうか。
認可保育施設の入園選考のポイントは、選考するのは保育施設ではなく市区町村です。そして、保育の必要性が高いほど優先されるということです。

各市区町村にはさまざまな要件ごとに点数を決めた基準指数表があり、この表に基づいてそれぞれの世帯の基準指数が決まります。そして、家庭の事情などによる、調整指数が増減されて、最終的な点数が決まります。
この数値によって、入園できるかどうかの選考が行われます。基準指数は父親と母親の指数の合計点で判定する市区町村が多いですが、なかには父親、母親のうち指数が低い方で判定するところもあるようです。

選考はこの点数で客観的に行われますが、競争が激しいところでは、当落ラインに同点で並ぶことが少なくありません。最終的に同点で並んでしまった場合、総合的な判断によって決められることになります。その内容は市区町村によって、さまざまです。たとえば、こんな世帯が優先されています。

同点で並んでいるときの総合的判断

最終的に同点で並んでしまった場合、総合的な判断によって決められることになります。
内容は市区町村によって、さまざまです。たとえば、こんな世帯が優先されています。

①基準指数が高い世帯
②所得が低い世帯
③認可外保育園に預けている期間が長い世帯
④その市区町村に長く住んでいる世帯

多くの市区町村では希望順位とは関係なく、指数の高い世帯から順番に決まっていきますが、一部の市区町村では園ごとにその園を第1希望としている人を指数の高い順に決定し、次に第2志望の人を指数順に決めていくというところもあるようです。
指数と希望の関係を考慮して、最も希望の園に入るためにはどう記入すればよいか考えてもむずかしいと思いますが、どういう決め方になるのか気になる人は各市区町村に確認してください。

指数を上げるためにできることは?認可外の保育施設に入れること

単純に指数によって入園が決まるなら、できるだけ指数を上げる工夫をしたくなります。ところが、指数自体は細かく分類され、指数が決められていますので、特に裏技的なことはないように思います。議員さんのコネを使う云々の話も良く聞きますが、本当のところはよくわかりません。あるような、ないような。

認可外の保育施設に入れること

ところが一つだけ調整指数を上げる方法があります。それは、一時的に認可外の保育施設に入れることです。この状態で申請すると、調整指数が加点されます。待機児童が多い地域で同点がたくさんあるようなときは、この方法はとても有効です。また、慣らし保育として考えると、4月当初から、フルタイムの仕事ができるメリットもあります。ただし、お金は多少かかることになります。

以下のことは、実質的に指数が上がるわけではないですが、書類の記入の仕方を間違ったり、見落としたりして、指数が低くなることもあるので、記入には十分注意してください。指数を上げるというより、無駄に下がらないように気をつけることが大切になってきます。

時短勤務で職場復帰する場合の注意

職場復帰する際、時短勤務で復帰する場合はちょっと注意が必要です。勤務時間を時短の時の時間で指数を計算するのか、定時の時間で計算するのか、市区町村によって違います。勤務時間の書類は自分で書くのではなく、勤務先に書いてもらうことになりますので、事前にしっかりと確認しておきましょう。フルタイムの人で当初は時短勤務の人は契約上の就労時間で書いてもらえるように会社にお願いしてみてください。

復職日・初出勤日のタイミング

4月の入園で、職場復帰が4月16日以降になると減点になることもあります。慣らし保育等余裕を持ってと考えてのことでしょうが、いつから減点の対象になるのか確認してから、復帰の日を決めましょう。また、内定の人も初出勤の日も同様に減点の対象になることもあるので、確認して決めてください。

祖父母が同居、近隣に住んでいるとき

祖父母の同居はどこの市区町村でも減点されます。仕事をしていたり、健康上保育ができない状況なら、申告する必要があります。
近隣に住んでいる場合、調整指数で減点するところはないでしょうが、同点の時の総合的判断で優先順位が下がる可能性があります。

嘘をついて指数を上げること

最近は、待機児童が多い地域では、競争が激しいため、指数を上げるために書類を偽装する人もあるようです。勤務先にいって、手心を加えてもらったり、ひとり親の世帯が有利になると偽装離婚するということも聞きますが、こういうのは論外の話です。そもそも嘘をついて入園すべきでありませんし、バレたときは大幅減点あるいは退園になることも考えられます。また、入園後も園に嘘をつき続けるのも苦しいことですよ。

保育園 入園

入園選考の同点の時不利にならないように注意することは?

希望園は一つだけ?それともいくつも書いておく?

認可保育園の入園申請で、その園への熱意を示すために第1希望園しか書かないという人がいますが、これは大きな間違いです。選考は園ではなく市区町村で行いますので、いくら園への熱意を示しても、有利にはなりません。逆に第1希望園しか書かないとそれほど切実な状況でないと思われてしまうことも考えられます。

いくつか希望園を書く場合は、念のため、通える範囲の園を書いておくべきです。決まっても入りたくない園や、遠くて通えない園で、内定してから辞退したりすると、ペナルティを受けてその後の選考で不利になることも考えられます。

嘆願書をつけることは効果がある?

申込書類の他に嘆願書をつける人もいますが、実際の効果はよくわかりません。同点になったとき、相対的に「保育の必要性」が高いと感じられるような内容であれば、ひょっとして有効かもしれません。もしも書くのであれば、家庭や子育ての事情で困っていることを簡潔に書きましょう。

その園にどんなに惚れ込んだかを書いても仕方ありません。認可保育園の場合、どうしても入りたいという気持ちや熱意より、入れなかったら困る理由、働いている状況を具体的に事実を説明することが重要です。

窓口での相談する時に気をつけることは?

市区町村の窓口で相談したり、書類を提出するとき、子供を連れて行った方が有利になると良くいわれます。でも、実際は指数的に有利になる要素はないと思います。ですが、相談の段階でも、入園できないと困るというアピールは大切です。同点でボーダーラインでは、相対的な関係で当落が決められます。

子供を連れて行かなかったとき、「子供は今日は、近くに住む祖母が見てくれています。」という話になると、仕事に就いてもなんとか子どもの面倒は見てもらえるので・・・と総合的判断で不利になることも考えられますが実際のところはよくわかりません。

保育園の入園選考の指数を無駄に下げないためのポイントのまとめ

 

入園選考の指数は何で決まるの?

基準指数(基本点数)
保育を必要とする事由ごとに優先の度合いを指数化しています。
調整指数
いろいろな家庭の事情や子どもの状況を配慮するための指数で基本指数から増減されます。

保育園の入園選考は世帯の指数によって判断されます
選考はこの点数で客観的に行われますが、競争が激しいところでは、当落ラインに同点で並んでしまった場合、総合的な判断によって決められることになります。

指数を上げるためにできることは?
一時的に認可外の保育施設に入れることで、調整指数を加点することができます。
申請書記入の際、無駄に下がらないように気をつけることも大切だと思います。

入園選考の同点の時不利にならないように注意することは?
指数に影響はありませんが、総合的判断の時に不利になるかもしれないので注意が必要です。

ベテラン保育士 ちはる先生
書類を提出したら、あとは待つだけです。
新人保育士 キララ先生
良い結果になるといいですね。

 

・・・今日も一日ちはるびより

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