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「先生、今日お迎え来る?」
保育園で働いていると、子どもたちからこんな言葉をかけられることがあります。朝の登園時、お昼寝前、夕方の自由遊びの時間。何度も同じ質問をする子も少なくありません。
保護者の方の中には、「毎日迎えに行くのに、どうして何回も聞くの?」「仕事をしていることを寂しく思わせているのかな」と、切なく感じる方もいるかもしれません。
しかし、この「今日お迎え来る?」という言葉は、決して親を責めているわけではありません。その一言には、『大好きな人に会える安心感を確認したい』『今日もちゃんと迎えに来てくれるよね』という、子どもなりの大切な気持ちが込められています。
この記事では、保育士として多くの子どもたちと関わってきた経験をもとに、「今日お迎え来る?」という言葉の背景にある子どもの心理や、家庭でできる安心につながる関わり方についてお伝えします。
「今日お迎え来る?」はただの質問ではない
子どもにとって「お迎え」は安心のゴール
大人にとっては、保育園で過ごす時間は「仕事が終わるまでの数時間」かもしれません。しかし、子どもにとっての一日は、私たちが感じる以上に長く感じられるものです。
特に乳幼児期の子どもは、時計を見て時間を理解することがまだ難しく、「あと何時間」「夕方になったら」といった感覚も十分ではありません。
だからこそ、「お迎え」は子どもにとって一日の終わりを意味する大切な出来事です。
- 大好きなおうちの人に会える
- 安心できる場所へ帰れる
- 今日頑張ったことを伝えられる
- 抱っこしてもらえる
こうした安心のゴールがあるからこそ、子どもたちは保育園での時間を過ごしています。
「今日お迎え来る?」という問いかけは、「今日もその安心が待っているかな?」という確認作業なのです。
「ちゃんと来てくれる?」という愛情確認
子どもは、親との信頼関係を少しずつ築いていきます。
毎日迎えに来てくれると分かっていても、「今日も来てくれる?」と確認したくなることがあります。これは不信感ではなく、むしろ「来てくれることを知っているからこそ、改めて確かめたい」という愛着行動の一つです。
大好きな人に「好き?」と何度も聞きたくなる気持ちに少し似ているかもしれません。
「もちろん迎えに行くよ」「おやつを食べた頃に来るよ」と繰り返し伝えることで、子どもは安心感を積み重ねていきます。
同じ質問を何度もする姿を見ると、「さっきも言ったでしょう」と答えたくなることもあるかもしれません。しかし、その確認の時間そのものが、子どもの安心につながっているのです。
子どもが「今日お迎え来る?」と聞く理由
① 見通しが立たず不安になっている
幼い子どもにとって、「待つ」ということは簡単なことではありません。
大人なら「夕方になれば迎えが来る」と理解できますが、子どもは今この瞬間の感情が大きく影響します。
例えば、楽しく遊んでいるときは気にならなくても、疲れたときや友達とのトラブルがあったとき、ふと寂しさが強くなることがあります。
そんなときに出てくるのが、「今日お迎え来る?」という言葉です。
不安な気持ちを抱えたとき、子どもは安心できる存在を求めます。保護者の迎えを確認することで、「大丈夫」「ちゃんと会える」と気持ちを落ち着かせているのです。
② 保護者と離れて過ごす寂しさ
どんなに保育園生活に慣れている子でも、ふとした瞬間に寂しさを感じることがあります。
特に次のような時期は、「お迎え来る?」と聞く回数が増えることがあります。
- 新年度でクラスが変わったとき
- 担任の先生が変わったとき
- 弟や妹が生まれたとき
- 保護者の仕事復帰後
- 長期休み明け
環境の変化は、大人が思っている以上に子どもに影響を与えます。
「寂しい」と言葉で表現できない年齢だからこそ、「お迎え来る?」という形で気持ちを伝えている場合もあるのです。
③ お迎え時間の変化が続いている
仕事の都合で残業が増えたり、迎えに来る人が日によって変わったりすると、子どもは敏感に変化を感じ取ります。
「今日は誰がお迎え?」「何時に来る?」という確認は、生活の見通しを持ちたいという気持ちの表れです。
決して保護者を困らせようとしているわけではありません。
子どもなりに状況を理解しようと頑張っている姿でもあります。
そのため、可能であれば朝のうちに、
- 「今日はママがお迎えに行くよ」
- 「おやつを食べた頃にパパが来るよ」
- 「今日はおばあちゃんがお迎えだよ」
など、具体的に伝えると安心しやすくなります。
④ 「早く会いたい」という愛情表現
「お迎え来る?」という言葉には、不安だけではなく、純粋な愛情も含まれています。
「ママに会いたい」「パパと今日の出来事を話したい」。そんな前向きな気持ちから出ることも少なくありません。
保育園では元気いっぱい遊び、笑顔で過ごしていても、夕方になると玄関を気にする子はたくさんいます。
大好きな人に会える瞬間を楽しみに待っているのです。
そのため、「そんなに寂しかったの?」と心配しすぎる必要はありません。
「会いたいと思ってくれているんだな」と、愛情の表現として受け止めることも大切です。

保育士が感じる「この一言」の裏側
「待っている時間」も子どもにとって大切な経験
保育士として多くの子どもたちと関わる中で感じるのは、「待つ」という経験そのものが、子どもの成長につながっているということです。
もちろん、長時間の不安や過度な我慢は望ましいものではありません。しかし、「お迎えは必ず来る」という経験を積み重ねることで、子どもは少しずつ安心して待てるようになっていきます。
今日も来てくれる。
昨日も来てくれた。
だから明日もきっと来てくれる。
そんな信頼の積み重ねが、子どもの心の土台を育てていくのです。
お迎えの瞬間に見せる表情の変化
保育園で過ごしている子どもたちは、日中は元気いっぱい遊び、友達と笑い合い、さまざまな活動を楽しんでいます。しかし、お迎えの時間が近づくと、玄関の方を気にしたり、保育士に「もう来るかな?」と尋ねたりする姿が見られます。
そして、おうちの人の姿を見つけた瞬間、パッと表情が明るくなる子どもたち。その笑顔には、安心感や喜びがあふれています。
「ママ!」と駆け寄る子。
「今日ね、こんなことしたんだよ」とすぐに話し始める子。
照れくさそうにしながらも、そっと手をつなぐ子。
表現の仕方はそれぞれ違いますが、どの子にも共通しているのは、「会えてよかった」という安心した気持ちです。
保育士として、この瞬間を見るたびに、お迎えの時間は単なる帰宅の時間ではなく、親子の信頼関係を確認し合う大切な時間なのだと感じます。
保育士が行っている安心につながる声かけ
保育士は、子どもが安心して過ごせるよう、日頃からさまざまな声かけを行っています。
- 「おやつを食べたらお迎えだよ」
- 「ママ、お仕事頑張っているよ」
- 「先生も一緒に待っているよ」
- 「昨日も迎えに来てくれたね」
こうした言葉は、子どもに「大丈夫」という安心感を届ける役割があります。
特別な言葉でなくても、「必ず迎えに来てくれる」という見通しを持てることが、子どもの心の安定につながるのです。

保護者ができる安心につながる関わり方
「必ず迎えに来るよ」を具体的に伝える
子どもは、具体的な見通しを持つことで安心しやすくなります。
「あとで迎えに行くね」よりも、
- 「お昼寝した後に迎えに行くね」
- 「おやつを食べた頃に来るよ」
- 「お仕事が終わったらすぐに行くね」
など、子どもが理解しやすい表現で伝えることがおすすめです。
毎日同じように伝えることで、「この流れなら大丈夫」という安心感が育まれていきます。
お迎え時は短時間でもしっかり向き合う
仕事終わりは慌ただしく、帰宅後もやることがたくさんあります。
それでも、お迎えの瞬間だけは、少し立ち止まって子どもの目を見てみてください。
「今日も頑張ったね。」
「会えてうれしいよ。」
「どんなことして遊んだの?」
そんな短い会話でも、子どもにとっては「自分は大切にされている」という実感につながります。
「寂しかったね」の気持ちを受け止める
もし子どもが「寂しかった」「早く来てほしかった」と伝えてきたら、否定せずに受け止めることが大切です。
「そんなこと言わないの」ではなく、
「寂しかったんだね。」
「待っていてくれてありがとう。」
と気持ちに寄り添うことで、子どもは安心して感情を表現できるようになります。
感情を受け止めてもらう経験は、自己肯定感や心の安定にもつながっていきます。
罪悪感を抱えすぎないことも大切
働く保護者の中には、「子どもに寂しい思いをさせているのでは」と悩む方も少なくありません。
しかし、子どもにとって本当に大切なのは、一緒にいる時間の長さだけではなく、「安心できる関係」があることです。
毎日迎えに来てくれる。
気持ちを受け止めてくれる。
一緒に笑ってくれる。
そうした積み重ねが、子どもの安心につながっています。
どうか、「十分頑張っている自分」も認めてあげてください。
「今日お迎え来る?」が増えたときに気をつけたいこと
環境の変化によるストレスサインかもしれない
急に「お迎え来る?」と何度も確認するようになった場合は、生活環境の変化が影響していることもあります。
- 進級やクラス替え
- 担任の変更
- 弟妹の誕生
- 引っ越し
- 保護者の働き方の変化
子ども自身も気づかないうちに、不安を抱えている場合があります。
いつもと違う様子が続く場合は、少しゆっくり話を聞く時間を作ってみましょう。
無理に我慢させない
「もう大きいんだから」「泣かないで」と励ましたくなることもあるかもしれません。
しかし、不安な気持ちを無理に押さえ込むより、「そう思ったんだね」と受け止めてもらえることの方が、子どもにとって安心につながります。
安心感を得ることで、少しずつ自分の力で気持ちを整えられるようになっていくのです。
気になる場合は保育士と情報共有を
「最近よく聞くようになった」「家でも不安そうな様子がある」と感じたら、保育士に相談してみることもおすすめです。
園での様子と家庭での様子を共有することで、子どもの気持ちをより理解しやすくなります。
家庭と保育園が一緒に見守ることで、子どもはさらに安心して過ごせるようになります。

まとめ
「今日お迎え来る?」という一言には、子どものさまざまな気持ちが込められています。
- 「ちゃんと来てくれるかな」という安心の確認
- 「早く会いたい」という愛情表現
- 「少し不安だよ」という心のサイン
この言葉は、決して保護者を責めているわけではありません。
むしろ、大好きなおうちの人とのつながりを大切に思っているからこそ出てくる言葉なのです。
毎日のお迎えは、子どもにとって「今日も来てくれた」という安心を積み重ねる大切な時間です。
忙しい毎日の中でも、その小さな積み重ねが、子どもの心の土台となり、「自分は大切にされている」という自信につながっていきます。
もし今日、「今日お迎え来る?」と聞かれたら、ぜひ笑顔でこう伝えてみてください。
「もちろんだよ。楽しみに待っていてね。」
その言葉は、きっと子どもの心を安心で満たしてくれるはずです。
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・・・今日も一日ちはるびより
